重力ピエロ
『重力ピエロ』 伊坂幸太郎
この本は、「春が落ちてきた」から始まる。
この春は季節ではなく人名である。
そして最後も同じ「春が落ちてきた」で終わる。
このように書くと現在の話→過去の話→現在となるように見えるが、
実際には過去から現在に進む物語である。
この作品でキーになっていると思うことは、「遺伝子」と「重力」と「偉人」である。
「遺伝子」は兄の泉水も職場であり、放火の法則などにも使われている。
次に「重力」は泉水と春の少年時代のサーカスのピエロが
空中ブランコをする場面で出てくる。
母の言葉
「あのピエロを見てごらん。楽しそうでしょう。
楽しそうであれば重力なんてなくなっちゃう」
っていうセリフとタイトルのつながりにもなっている。
ただこの重力というのは家族を見る周りの目や、
春の出生についてのことにもつながる。
母がそのときに起こっていた、連続レイプ事件の被害者である。
春はそのときにできた子供である。
そのことで産むか迷ったときに父は神様に
「どうすればいいでしょうか?」と質問を投げたらしい。
そのときの返答が、
「自分で考えろ」だったと言っています。
それはそうだな。
わたしの日常でも、神様に聞いたところで、
答えが返ってこないことの方が多いですしね。(笑)
そこで産むことを決意したそうです。
それによって家族はいろんな他人の目に悩まされてくることになります。
本の内容であれば、春が絵画コンクールで金賞を取った際に、
ひがみを言われる場面なんかもありました。
そんな中で春は家族とのつながりを重要視していくようになります。
また性行為についての考え方が変わったものに育っていきます。
あなたにとって重力はなんですか?
また重力を楽しんで回避するには
どんな方法があるでしょうか?